国際協力機構(JICA)がイランのアンザリ湿原で進めている環境管理プロジェクト(フェーズⅡ)の一環として、湿原生態管理や汚水・廃棄物処理などに携わる行政官を対象とした本邦研修が2014年10月13日から17日まで釧路で行われ、KIWCはその一部のプログラムを担当しました。
この研修は日本工営株式会社がJICAから受託し、10月8日から24日まで日本各地で環境管理について学ぶもので、今回は12名が参加しました。研修員は流域管理、汚水管理、廃棄物管理、エコツーリズム・環境教育、湿原生態管理の5グループに分かれ、釧路湿原やその周辺の自治体施設を訪問し、自然再生事業や湿原内でのカヌーツアー運営、周辺市街地でのゴミや排水処理の方法など、それぞれの分野に応じた事例について学習しました。
KIWCは10月14日に全グループ対象のプログラムとして、釧路湿原の保全と利用の概況について、講義と釧路湿原塘路地区の視察を担当しました。台風19号によるあいにくの悪天候でしたが、視察先の塘路湖エコミュージアムセンターや標茶町郷土館では、湿原周辺で発掘された縄文時代の遺物や開拓時代の民具などの展示を前に、釧路湿原と人との関わりの歴史について活発に質問や意見を交わしたり、職員手作りの湿原情報や子供達によるタンチョウのイラストなどの展示に見入ったりするなど、研修員は興味津々の様子でした。
10月17日には釧路での研修のまとめとして交流会が開催され、KIWCも講師陣の一員として参加しました。KIWC技術委員長でもある新庄久志氏による、釧路湿原の自然再生に関する講義に続き、研修員がグループごとに成果の発表を行いました。最後にKIWC事務局長が総評を述べ、「釧路での研修の成果が、今後のアンザリ湿原の保全に活かされることを願っている」の言葉で交流会を締めくくりました。