トピックス

  • 2022-10-17 技術委員会 > No.69 【技術委員会 現地検討会開催報告】
    2022~2024年度技術委員会調査研究テーマ「気候変動とそのモニタリング」「持続可能な開発と賢明な利用」「環境教育の普及」の視点から、管内湿地を訪問し、現状と課題について検討する現地検討会を2022年10月6日に浜中町で開催しました。技術委員5名と、浜中町地域おこし協力隊が1名参加しました。

    霧多布湿原センター職員の伊藤大雪さんの案内のもと、丸山散布の野鳥観察小屋、丸山森林湖沼公園、火散布沼の半島を視察し、国定公園制定後のそれぞれのより良い活用方法について検討しました。バードウォッチングや、地元の漁師による火散布沼の漁船横断ツアーなど、実施できそうなエコツアーの提案がいくつか挙がりました。
    視察後のディスカッションでは、浜中町の地域おこし協力隊員も加わり質問や意見が活発に交わされました。

    技術委員からは、国定公園の「持続可能な開発と賢明な利用」のためには
    ①保全と利用の両立ができる仕組みづくり
    ②漁業関係者や地域住民との協力関係の構築と観光利用に向けた合意形成
    ③国定公園内の土地所有管理者(漁業権を含める)のデータベース化
    ④構成自治体による厚岸霧多布昆布森国定公園連絡協議会の設立
    について、地域が取り組む必要があるとの意見が挙がりました。

    厚岸霧多布昆布森国定公園が制定されてからまもなく1年が経過しますが、今後の国定公園エリアの保全とワイズユースについて、改めて考える機会となりました。

  • 2016-11-05 技術委員会 > No.44 平成28年度現地検討会を開催しました
    平成28年10月20日(木)に、技術委員会は平成28~30年度の技術委員会調査テーマである「湿地資源の賢明な利用」の事例検討のため、現地検討会を開催しました。今回は浜中町霧多布琵琶瀬の対岸約1㎞にある無人島、ケンボッキ島を視察しました。技術委員である霧多布湿原センターの河内さん、NPO法人霧多布ナショナルトラスト 副理事長 瓜田さんに現地を案内していただきました。
    まず、NPO法人霧多布ナショナルトラストの活動について、団体の副理事長である瓜田さんより、観光開発の影響を免れ保全されてきた島の歴史と産業について説明を受けた後、トラストが提供しているケンボッキ島ツアーを実際に体験し、島内を視察しました。 
    ケンボッキ島の利用の記録は、江戸時代末期まで遡ることができ最盛期には7戸~8戸、20人程度が昆布漁を行いながら春から秋まで生活していたという記録があります。1971年から1年間、作家の畑正憲(ムツゴロウさん)が住み、その時の生活の様子を「無人島記」として出版したことから観光客が多く訪れるようなりました。
     その後、島の観光開発の話が持ち上がった際に、浜中町が島を買い上げて利用要綱を設け、現在、コシジロウミツバメやトウキョウトガリネズミといった貴重な野生生物の保全と利用をめざした無人島エコツアーを提供しています。
     視察終了後、法人理事長の三膳さん、瓜田さんを交え、当技術委員との意見交換を行いました。各委員からは、馬の放牧のための牧柵や廃屋、轍など人間生活の痕跡が見られる島を視察した後に「保全に係る島と人の歴史や団体が目指す保全活動の将来構想や理念を伝えることでより魅力的なエコツアーになるのではないか」といった提言や、「子供や親子を対象とした次世代育成型のエコツアー」、「子供向けの磯遊びツアー」、「地元の産業の紹介を盛り込んだツアー」の提案といった活発な意見交換がなされました。

  • 2016-04-22 技術委員会 > No.39 技術委員会調査研究報告書「地域における湿地と恵み」が完成しました。
    平成25年度から27年度の調査研究テーマである「地域における湿地と恵み」の調査研究報告書が完成しました。
    下記からご覧いただけますので、ぜひご一読ください。

  • 2016-03-29 技術委員会 > No.37 技術委員会より3年間の調査研究成果を報告しました。
    平成28年3月18日に第3回技術委員会を開催し、平成25年度から27年度の調査研究テーマである「地域における湿地と恵み」の調査研究成果を報告いたしました。
    各技術委員により「湿地からどのような恵みが得られるのか」について、様々な視点・観点から3年間にわたる調査研究が行われ、その成果は調査研究報告書としてまとめられ、4月上旬に完成いたします。
    調査研究報告書は、ホームページからもダウンロードできるようになりますので、ぜひご一読ください。

  • 2015-11-17 技術委員会 > No.34 平成27年度現地検討会を開催しました。
    平成27年10月15日(木)に、技術委員会は平成25~27年度の技術委員会調査テーマである「地域における湿地と恵み」の事例検討のため、現地検討会を開催しました。今回は阿寒湖沼群のうち、ひょうたん沼、太郎湖、次郎湖を視察しました。技術委員である釧路市教育委員会マリモ研究室室長の若菜勇さんに案内をしていただきました。
    まず、ひょうたん沼を視察しました。平均水深が2mに満たない浅い沼で富栄養湖と言われているひょうたん沼は、夏の間は植物プランクトンの発生によって水が濁り沈水植物が少ないそうです。ひょうたん沼の上流側の地形なども含め、若菜委員に解説をしていただきました。
    その後、雄阿寒岳登山口に移動し、太郎湖と次郎湖を訪れました。次郎湖は底泥が巻き上がらないため、黄色もしくは褐色の湖底が透けて見えていますが、次郎湖を水中から見ると水が非常に澄んだ青色をしているそうです。次郎湖から垂直に近い足場を登り到着した場所は、地温1℃未満を観測し、永久凍土がある可能性が大いに高まっている風穴帯です。この風穴帯には北方系の植物が点在していますが、対照的に、白湯山側には本来亜熱帯や熱帯地方に分布する植物が見られます。少しの距離しか離れていないにも関わらず、異なる植物相が観察できるなど、阿寒地域の生物多様性の高さが分かります。また、阿寒地域には湖の遷移過程を実際に見ることができる湖沼群が揃います。また、ひょうたん沼、太郎湖、次郎湖をはじめ、阿寒湖沼群へのアクセスは既に林道及び登山道があるため、調査・研究活動にとって有利であり、学びの場としてもとても有望だと考えられます。
    マリモや温泉のイメージが強い阿寒湖ですが、今後は阿寒湖沼群を軸とした魚類等に係る遺伝子レベルでの調査、アイヌ文化やアイヌの歴史における伝統的な自然観を基調とした物語の構築、環境保全と観光振興との折り合いなどが課題としてあるものの、多様性と可能性を秘めた阿寒湖沼群は、これからも新しい知見がたくさん発見され、その希少性と重要性が明らかになってくると思われます。