ラムサール条約

ラムサール条約

最初は水鳥のための条約として始まった

 「湿地」とは、川や湖はもちろん、干潟や田んぼ、ダムにいたるまで、水のある場所すべてをひとまとめに表す言葉です。この「湿地」を世界規模で守るための条約がラムサール条約です。2014年1月現在、168ヶ国がこの条約に参加しています。
 正式には「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」といいますが、一般には、この条約が採択された会議の開催都市(イランのラムサール、1971年)にちなんだ呼び名「ラムサール条約」で知られています。
 条約の名前からわかるように、最初は主に水鳥(水辺でみられる鳥)のすむ湿地を保護するための条約としてスタートしました。ガンやカモ、シギ、チドリなどの水鳥の多くは、夏は北、冬は南の地方ですごすため、春と秋に渡りをします。中には、北半球から南半球まで、いくつもの湿地を経由しながら、何千キロもの旅をする種類もいます。したがって、渡りをする水鳥を守るには、かれらが夏の繁殖、越冬、そして渡りの休み場所として使う湿地のすべてを保全しなくてはなりません。ラムサール条約は、国境を越えた世界共通のルールで、このような湿地を守るために誕生しました。

「すべての湿地と水」の条約へ

 その後、湿地に関する研究が進み、湿地が水鳥だけでなく、人間を含む、驚くほど多くの生き物を育んでいる場所であり、さらに気候や洪水の調節など、地球全体にとって重要な役割を果たしていることがわかってきました。ラムサール条約も湿地研究の進歩にあわせ、水鳥にこだわらず湿地の生態系をまるごと守り、さらには湿地が湿地たるゆえんである「水」そのものにかかわる条約へと進化しています。
 現在では条約事務局でも通常はこの条約を、「特に水鳥の生息地として」の部分を省き、「Convention on Wetlands of International Importance(国際的に重要な湿地に関する条約)」と呼んでいます。

いつまでも「使う」ために「守る」

 地球上の生命すべてにとって、水は必要不可欠です。したがって水のある場所=湿地とその周りには、微生物から大木に至るまで、種類も数も非常に多くの生命が集まっています。人間もその例外ではなく、水辺で食料や飲み水を得て、大河のほとりで文明を興しました。さらに文明の発達に伴い、農業や工業への水の確保や治水のため、ダムやため池、運河、水田などの人工の湿地も作り、利用するようになりました。社会が複雑化し、人口が増える中で、ますます多くの水が様々な方面で必要になっています。
 水も湿地も、人間だけの、それも豊かな人々だけのものではありません。ラムサール条約が目指しているのは、世界中の全ての湿地で、人間を含むすべての生き物が平等に、湿地からの恵みをいつまでも得られるように「使う」ことです。このことを条約では「湿地のワイズユース(賢明な利用)」と表現しています。

ラムサール条約湿地

 ラムサール条約の加盟国は、加盟にあたり国内の湿地を最低でも1か所、条約の「国際的に重要な湿地のリスト」に登録することになっています。条約では湿地を国際的に重要と判断するための9つの基準が設けられています。
 締約国は、登録した湿地の保全とワイズユースの計画を作り、その計画に基づいて管理を行わなくてはなりません。また、登録湿地にかかわらず、国内すべての湿地の持続可能な利用を進めるとともに、基準を満たす湿地をすみやかにリストに追加するよう、努力する必要があります。
2014年1月現在、世界全体で2,171箇所の湿地がリストに登録されています。そのうち日本の登録湿地は46か所で、現在もさらに登録湿地を増やすための準備が進められています。

さらに詳しく


釧路湿原

厚岸湖

霧多布湿原