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はじめに
私は、フィリピンでは、環境自然資源部第7地域(DENR-7)に勤務しています。オランゴ島(セブ、フィリピン)の湿地管理業務を通して、湿地とその生態系の保全についてさらに知識を深め、湿地に生息する全ての生物の生態環境を保全していく必要があると考えるようになりました。
すぐれた専門知識を持つ日本の技術者から環境保全に関する知識・技術を学ぶため、この研修コースに参加することに決めました。
研修の概要
2000年5月31日に来日し、最初の2ヶ月(6〜7月)は、日本語集中講座を受けました。これは日常生活に非常に役立つとともに、その後の日本での生活に自信を持つことができました。本格的な研修は2000年8月にスタートしました。
学ばなければならないことは数多くありましたが、私の滞在期間は10ヶ月と限られたものなので、自国における私の職務にかかわる事項に焦点を絞って学ぼうと思いました。研修内容は講義、現地訪問、そして地域の人々との交流です。
まず、根室市在住の松尾武芳氏の指導のもと、風蓮湖で鳥類標識法に関する研修を受けました。松尾氏は鳥類識別の専門家で、山階鳥類研究所の識別チームに所属しています。この研修によって、鳥類識別の正しい手順、および各種の鳥の取扱い方を学びました。鳥類識別は私の主要な担当業務の一つであるため、この研修は非常に有意義なものでした。
続いて、自然公園の管理・運営と利用(エコツアー)に関する国際協力事業団北海道国際センター(帯広)主催の研修が行われ、マレーシア、インドネシア、タイの研修生ともに参加しました。釧路国際ウェットランドセンター主幹の新庄久志氏が研修のコーディネーターでした。
この研修では、釧路湿原、霧多布湿原、然別、知床、川湯、阿寒国立公園など、ラムサール登録湿地や国立公園を訪れる機会を得ました。これらの国立公園等は素晴らしいエコツアーのプログラムを提供しており、その中には、フィリピンの湿地帯にも適用可能なものがありました。またカヌー、カヤック、乗馬、マウンテンバイクを利用したプログラムや、魚や鳥の観察、登山などを実際に体験しました。
私の職務とのさらに深い関連性を感じたのは、環境教育プログラムでした。このエコツアー研修においては、環境教育についても学びました。私が訪れた国立公園等では、屋内外を問わず実施することができる環境教育プログラムが行われていました。
環境教育については、私が研修中に派遣された機関である浜中町霧多布湿原センターでも多くのことを学びました。霧多布湿原センターでは、伊東俊和主査から、もう一つの重要な研修課題である「ネイチャーセンターの管理」について指導を受けました。7年前に設立された同センターの運営計画の作成方法および管理に関する説明は、自国で私が担当する「湿地センター」の管理方法を改善するための指針となるものでした。
研修期間中、現地訪問のみならず、実地見学研修で北海道や東京、京都を訪れました。実地見学によって、ホームシックを克服し、異国での生活をより充実したものにすることができました。訪問先では、日本の優れた先端技術に感銘を受けました。この実地見学研修を含むこの研修の全ての内容は、非常に有意義で、また楽しいものでした。日本で得た知識や技術は何れも、私にとって、そしてフィリピンの全ての人々にとって、有益なものとなるでしょう。
研修内容の適用
研修を通じて、フィリピンの湿地帯を保全するため、さらに努力を続ける意を強くしました。この研修で得た知識を積極的に活用し、また同僚と分かち合うことで、国際的に重要な湿地の生態系を含むフィリピンの湿地環境の保全を確実に進めていきたいと思います。
おわりに
この研修では、それぞれの国の発展に貢献するのに役立つ専門的な知識・技術を高めることができました。この研修の実施にかかわった皆様に心からお礼申し上げるとともに、皆様のさらなる発展を祈念いたします。そして、日本とフィリピンの友好関係が、末永く続くことを願っています。
謝辞
最後に、他国から参加した研修生の皆様、楽しい一時をどうもありがとうございました。辛抱強く指導していただいた霧多布湿原センター職員の皆様、様々な面でご助力いただいた釧路国際ウェットランドセンターの皆様、多くの知識と技術を伝授して頂いた指導者の皆様に感謝しています。また、ホームステイで私を受入れてくださった伊東俊和様と奥様、堀達也北海道知事ならびに道庁の皆様、北方圏センター、その他様々な面で助けていただいた関係者の皆様に深謝申し上げます。
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