釧路湿原ラムサール条約登録20周年記念事業 『湿原をたのしむエコツアー』
釧路湿原が1980年6月17日に日本最初のラムサール登録湿地に指定されてから、今年で20周年を迎えた。2000年11月22日現在で、同条約に加盟している国は123カ国。登録湿地の数は1041までに増えている。 200締約国、2000登録湿地の実現を目指し、湿地の野生生物保護にだけ注目するのではなく、魚類や水資源など、湿地自然資源の保全と賢明な利用(ワイズユース)、湿地環境の修復や回復による地球環境保全への寄与、さらに、地域レベルでの湿地保全活動や国際協力の普及をめざしたさまざまな活動が世界各地で展開されている。 今年度、釧路国際ウェットランドセンター(KIWC)は、エコツーリズム、湿地の再生などをテーマに、ラムサール条約登録20周年記念事業を企画、実施している。そのひとつとして、2000年8月20日に『湿原をたのしむエコツアー』を実施した。 同事業は、達古武湖畔遊歩道をフィールドとして行われ、3組の親子を含む、12名が参加した。新庄久志KIWC主幹がガイドとして同行し、湿原の音と風景、湿原の木、湿原の水/湧き水、湿原の緑に関するインタープリテーションを行った。 参加者は、木道から湿原の野生生物を観察したり、雑音の多い社会では聞くことのできない鳥や虫の声を耳にするなど、新しい発見に感動していた。また、あまり知られていない湿原の中の湧き水について、温度や量を調べて学習するなど、さまざまな局面から湿原を考えることができた一日となったようである。 エコツアーは、湿原を身近に感じ、湿原の楽しさを理解する機会を提供するとともに、人々の湿地保全に対する意識を高めるのに大変効果的であると考えられている。KIWCでは、今後もエコツアーに注目し、地域住民を対象とした楽しいプログラムを企画していきたい。
「湿地の経済評価」翻訳・出版
釧路国際ウェットランドセンターは、「ラムサール条約 その歴史と発展」(1995年)の発刊に続き、2000年3月「湿地の経済評価」を翻訳、出版した。 同書は、釧路公立大学 小林 聡史 助教授が中心となり、バービア博士らの執筆による「Economic Valuation of Wetlands:A Guide for Policy Makers and Planners」を日本語に翻訳したもの。原著は、1996年にオーストラリアのブリスベーンで開催された、第6回ラムサール条約締約国会議で採択された「湿地の経済的評価に関する協力の促進」という勧告に基づいて、1997年にラムサール条約事務局から出版された。 この本の目的は、湿地の経済評価にどんな可能性があるのか、また、どのように湿地の経済評価が行われるべきかという問題について、行政機関、研究者、湿地保全にかかわる人々にヒントを提供することである。さまざまな評価方法の詳しい説明及び湿地評価研究の事例とともに、評価結果を具体的に湿地にかかわる政策決定の場において役立てるための指針が示されている。 「湿地の経済評価」 1冊 1,000円(税込) 「ラムサール条約 その歴史と発展」1冊 1,000円(税込) ※ 郵送の場合、送料は購入者負担 《問合せ先》 〒085-8505 釧路市黒金町7-5 釧路市環境部環境政策課自然保護担当内 KIWC事務局 電話:0154-31-4594 FAX:0154-23-4651 E-mail:kiwc@marimo.or.jp
●2000年2月2日(世界湿地の日) 「資源管理とエコツーリズム−西 表島エコツーリズムを軸として−」
●2000年4月29日 「国際シンポジウム 湿原とサンショウウオの関わり」
●2000年6月7日 「シンポージオ 湿地の再生」
●2000年8月20日(左上記事) 「湿原をたのしむエコツアー」 ●2000年9月23日 「釧路川河川環境観察会」
●2001年1月13日 「釧路湿原SLエコツアー」