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アイルランド泥炭保全協会(IPCC)は、設立以来、湿原及び泥炭地の環境問題に対する考え方や態度を変えるために「教育」が果たす役割の重要性を認識している。IPCCの教育プログラムは、優先的に学校における公式の教育を対象としているが、非公式な教育プログラムも精力的に行っている。
1989年から1998年、IPCCは、アイルランドの学校で使用する教材を開発するという意欲的なプログラムを行った。作成された教材「泥炭地教育パック」、「生きている湿地エコロジースライドパック」、「小学校のカリキュラムにおける泥炭地フィールド学習ガイド」、「湿地フィールド学習ガイド」は、泥炭地資源の保全と開発に関するあらゆる問題を扱うよう、慎重に調整された。
IPCCは、最初の段階から教師及び学校に教材の開発に係わってもらった。これにより、さまざまな科目で学校のカリキュラムの要件を満たす内容にすることを確実にした。若い人々の知性を刺激し、湿地に対しポジティブな行動をおこすよう教材を提示するために、出版される前に、学校で教材を試した。
多くのアイルランドの教師は、フィールド学習及び環境教育の正式な研修を受けていない。この必要性に応えるために、IPCCは、教師のための専門的な「現職(教師)研修」を毎年行っている。毎年、平均100人の中学・高校の教師が研修を受けている。研修は、教育センターのネットワークを通して各地域で行われている。
IPCCによって特別に企画された研修は、湿地の特殊な環境がどのような働きをしているかを理解するため、生態学的な学習を行い、また環境に与える人間の影響に関する「フォロー・アップ」セッションも含んでいる。IPCCは、環境と開発の間におこる摩擦を説明するためボードゲーム(チェスのようなゲーム)を使用している。また、環境のために妥協する際に必要とされる人々の価値観や個人の行動の変化を探るべく、事例研究を利用している。
教室を越えた教育
IPCCの非公式な教育プログラムは、学校の外のあらゆるレベルで行われる。若い人たちのために、ポスターや写真のコンテスト、資金調達のための切手収集、国内調査、「アース・デー」のエクスカーション及び展示を行っている。これらは、単発的な活動ではあるが、啓発活動を行う上できわめて重要である。このような活動は、公式の教育で、湿地及び湿地の利用に対する継続した関心を高めるのに大いに役立つ。
IPCCの環境教育プログラムは、今のところ、対象としやすい学校や若者のグループに集中しているが、対象を彼らに限定しているわけではない。環境教育は社会のあらゆる活動分野を対象とした生涯にわたる経験である。そのため、IPCCは、毎年、「The Wild Boglands(自然の姿をとどめる湿地)」と題する大人のための夜間コースを行っている。12週間のコースは、一般の人々に湿地及びそこに棲む野生生物、保全、考古学、復元について湿地の専門家とともに学ぶ機会を提供する。このコースは、IPCCが1986年以来出版している40冊の一般書・専門書及びビデオを使用し行われている。
IPCCは、また、充実したホームページを持っている。(http://indigo.ie/~ipcc)このホームページは、IPCCのもっとも有効な教育手段である。また、このホームページでは、アイルランド国内及び国外の泥炭に関するさまざまな問題に関する情報を、最新の活動、エクスカーション、ワークキャンプ、スライド・ショー、研修コースと併せて紹介している。
アイルランド泥炭保全協会(IPCC)
教育担当責任者 キャサリン・オコンネル
(Dr.Catherine O'Connell)
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